自然塗料にこだわる岩手県江刺市のXION(シオン)からやっと、油性の塗料が発売される。 塗料全体の見直しがあり、水性の木塗水(きとすい)、油性の木塗油(きとゆ)、ワックス系の木塗蝋(きとろう)の3タイプが同時に出るらしい。 今回はいち早くそのサンプルの写真を公開します。なお、右側は同じく自然塗料の接着剤(主成分はにかわ)です。-------実際は別の入れ物での発売になるらしい。 水性はヒバの成分を増やし、臭いに難点のある木酢を使用せずに開発した製品だそうです。油性は発売が待たれていたもので、マイスターのコラムでも以前に書いたことがあるけれど水性のフロアマスタ−は床に使うと汚れにはあまり強くないと言う欠点があるので(いくら自然塗料がいいと言ってもクレームが出てしまっては元も子もないので、マイスターではターナー色彩からでているワックスオイルを代替品として使う事をお勧めしています)、その欠点を補うものとして開発を進めていたらしい。これで無垢のフローリングにもXIONの製品を安心して使用出来るようになった。 でもそれよりも使いやすいのは木塗蝋(きとろう)という言わばメンテナンス用の製品で、薄く延ばして塗ることによりワックスの効果があり、木塗油を塗り込んだ無垢の床のお手入れに格好の製品になっている。木塗水(きとすい)や、フロアーマスターを塗った床にもOKとのこと。 なんにしても石油精製品では無いので健康面で安心して使えます。 ただ、何故か東北では需要が少ないとの事。 XIONは塗料よりも接着剤のほうが有名らしく関西、関東の健康住宅とか無添加住宅とかを扱っている工務店や住宅メーカーでは積極的に使われているそうです。 私も、断熱材を除くと、どちらかと言うと目に見えるところだけの自然塗料にこだわってきたが(断熱材はセルロースをお勧めしています)、良く考えてみればフロア−やクロス、木材の接着剤までとことんこだわらなければ本当の意味での無添加住宅にはならないのではないか、と反省しきりです。 ただ、接着剤までこだわるとなると施工を担当する工務店の姿勢そのものが最も重要になるのではないかと思います、でもこれって、実際は結構難しいことです。 いわゆる、ただ単にエコロジーなんて言う概念を超えて「バウビロギー」(baubiologei)と言う考え方まで意識をもっていかないと無理じゃないかな―――――なんて思います-。 建築生物学と約されるこのドイツ生まれの造語は建築と生き物とが自然の流れの中でバランスを保つための設計手法で、「人の生活環境と地球全体を考慮した相互作用の科学」と定義されるそうです。 最近では無添加うんぬんとうたっていた会社も、この「バウビオロギー」と言う表現方法を好む傾向にあるらしい、---------ちょっと無理があると思うけれど--------。 ついでに言うと日本の大手住宅メーカーの殆どはこの概念に無頓着です。 健康や環境とかと言ったような長いスパンでしか答えの出ないもの、あるいは一部の人達にしか該当しないものより、壊れない腐らない、と言う割と短期間で答えが出るもの、端的に言うとクレームが出ない商品を好む傾向があるからなんだろうけれど。 まあ、まじめに考えたら商売にならないと考えているんじゃないのかなとも思います。 だってその先に待っているのは、伊達や酔狂では語れない、人生観そのものを問われる世界に足を踏み入れる必要があるからで、マニュアルで制御できる限界はとっくに超えてしまっています。 スクラップ、アンド、ビルドを繰り返してきた軽薄な日本文化の中で環境先進国のドイツに負けないこの考え方が真の意味で根ずくにはまだまだ時間がかかるのではないでしょうか。 なおXIONのホームページはhttp://www.xion.co.jp/です。
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