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COLUM BY HIROKAZU YOSHIDA.
建築家吉田裕一がお送りする不定期コラムです。


2018.04.02(mon)
父の死、そして父の愛犬の死

(有)吉田建築研究所 吉田裕一

2018年3月17日(土)18:30父が亡くなった。
94歳と五ヶ月弱。
死因は施設で亡くなった為老衰だったが、年齢的には大往生だろう。

父は91歳の時に身体の自由が思わしくなくなり、サービス付き高齢者住宅へ、その後昨年の10月に介護度が上がり痴呆も進んだこともあり、老健施設へ転所していた。
亡くなる週の月曜日に一度危険な状態になり、施設の医師からはもう長くは無いと告げられた。
さらに延命措置は望みますかと聞かれて(その時にならないと分かりませんが)基本不要ですと答えていた矢先だった。
最近はほとんど食が進まず、どんどん痩せていき、自ら自然死を望んでいるかのようであった。
亡くなる2日前、なぜか意識がしっかりとしていて、8年前に先だった母が寂しがっているからもう行くよと言った。
今思えば、本人は覚悟していたのだろう。

父は全く無趣味の男だったが、80歳の時、それまで入退院を繰り返していた母が入院先の病院から、今後自宅に戻ることは出来ないと告げられ、意を決して犬を飼った。
それは寂しさを紛らわすためでもあり、自らの挑戦でもあったと思う。

犬はコーギーの♀で、母の名前から一字をとって「ひかる」と名付けた。
それから11年間、ひかるは父の散歩の足となり、時には話し相手、そして昼寝のお伴として一緒に暮らした。
8年前、母が亡くなってからは一層その絆は強くなっていったと思う。

ひかるは、父がサ高住に入所した時、我が家で引き取った。
毎日元気で走り回っていたが、昨年3月急に食欲が無くなり、動物病院で肝臓がんと診断された。
治療は特になく、獣医からは余命は2、3カ月ぐらいかも・・・と告げられたが、2年ぐらい生きる場合もあるとも言われた。
食欲はステロイド処方であっさり回復したので、その後は奇跡のサプリメント【プラナグロウ】を与えた。
効果があったのかどうかは分からないが、昨年末ぐらいから歩くことや立つ事が困難になっても、食欲だけは落ちなかった。

動物には何かしら感じるものがあるのだろう・・・
ひかるは父が亡くなったことを悟ったかのように、父が永眠した3日後の3月20日の朝、まるで後を追うように静かに息を引き取った。
14歳と一カ月余りの犬生だった
その日は父の葬儀の日
もしかしたら、寂しがり屋の父がひかるを呼んだのかもしれない。

飼っていたペットたちが先に死んだ場合、彼らはご主人様が迎えに来るのを虹の橋のたもとで待っていると言う。
ひかるは急いで虹の橋のたもとに行き、先に行ったご主人さま(父)と一緒に虹の橋を渡ったのだろう。

葬儀の日、火葬される父の棺にひかるの写真とお尻の毛をカットして入れた。
ただし肝心のひかる自身の火葬はペット斎場が込んでいることあり六日後の26日に行われた。

母の葬儀の時は父がまだ元気だった事もあり、大まかなこと以外は父に任せた。
今回は喪主、決めなければ無いことがたくさんあり
・・・・やはり疲れた。

父とひかる

不思議な縁で導かれた人間と動物

今頃天国で一緒に仲良く歩きながら

母はのもとへ向かっているのだろう。



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