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COLUM BY HIROKAZU YOSHIDA.
建築家吉田裕一がお送りする不定期コラムです。


2016.11.01(tue)
ある住宅業者の自己破産(倒産)

給g田建築研究所 吉田裕一

2016年9月末にある地元の住宅業者(一般的には工務店、いわゆる何とかホーム)
が自己破産の準備の手続きに入った。
系列のインテリア関連の業者も破産、負債は2社で総額5億円!
・・・・創業13年目だった。
実はこの創業者(社長)とは旧知の中で、会社設立の折には設計、計画など全面的にバックアップし、協力した。
その中身は、彼がプロデュース、私が設計監理を受け持つという形だった。
私自身多くの仲間に声をかけ、たくさんの協力を得、順調な滑り出しかに見えた。
しかし、モデルハウスが終了し、何棟かの住宅を手掛けている矢先(初めの資金が底を尽きかけこともあって)一方的に舞台から降りると言いだし、さっさと逃げ出してしまった。
その時はなんていい加減な野郎だとは思ったが、金がないのでは、とはじめは同情していた。
ところが、しばらくしたら(辞めると言いだしたにもかかわらず)突然復活し、またやり始めたのにはびっくり。
・・・どこか資金提供者でも見つけのだろう?
出来あがった住宅を見てまたびっくり、モデルハウスに来場し、一緒に追いかけようとしていた顧客だった。
彼が仕事を辞めると言いだしたとき、一緒に造ったモデルハウス来場者の管理客のリストを置いて行くように指示したのだが、おそらく私には有望な管理リストは渡さなかったのだろう。
当然ながらこの仕打ちには頭にきて、その後完全に決裂!
私は、私なりの自分のプロジェクトを継続した(それがマイスタープロジェクト)。

ここから先、私はよく知らない、彼はどういう資金繰りで会社を立て直したのだろうか?さまざまな手を使い建設業登録をとったり、学生とのコラボをしたり、地元建設業者と一緒にモデルハウスを建てたり・・・初めそれなりに地道にも見えた。
しかし今は閉鎖されてしまったHPを見ると、会社概要には3000坪の土地を購入したり、あちこちに営業所を作ったり、市内の一等地に会社を移したり、関連会社を2社も設立したりと、一見華々しく見える経歴が記載されていた。
もちろん今となってみればそれは無謀な背伸びだったのかもしれない。
もともと、実態とは裏腹に見かけだけを追求するきらいがあり、HPといういわば虚像の中でのイメージを最大限利用していたところが多く、どこかで歯止めが利かなくなってしまったのかもしれない。
知り合いのディベロッパーの担当者は、この会社のことをよく知っていて、大したことないものを、大それたものに見せることが上手な会社と揶揄していた。
会社の経営者なら分かると思うが、広告宣伝費は実はばかにならない。
自分が精魂込めて造ったものをカッコ良く宣伝し、次の仕事に繋げたいと思うのは誰しもが同じ。
しかし、いいものを造り続けることの難しさと相まって、利益と結び付かない宣伝費用の増大はやがて命取りになることは明白だ。
加えて自らのデザインのポリシーを崩さないために、おそらく赤字を覚悟で請け負ったこともあったのだろう。
建築における利益とは、自ら造り出すものと、クライアントの要望、資金が揃ってこそ初めて実現すると言ってもいいし、残念ながら損をして得を取るという図式はここでは成立しない。
FBのブログを見返すと今年の3月から8月のあいだに7棟の住宅を着工すると豪語していたが、もしその通り運んだなら倒産は免れたのだろうか?
負債5億はかなりの数字だ、おそらくここ数年は借金の負の連鎖に陥っていたのだろう。インテリア系の別会社を作ったのは、もしかしたら、借金の分散のためだったのかもしれない。
はたして今回も捲土重来はあるのだろうか?

東日本大震災以来しばらく復興需要が続いていた東北地方だが、仕事が一回りし、加えて消費税アップが先送りされたことも大きく、土木関係以外の建設業はじり貧に陥りつつある。
ミニ開発が進み、ローコスト住宅メーカーの台頭もばかにならない。

これから、この会社のように足元を見ない無理な背伸びをしている会社の淘汰はありそうな気もする。

大手住宅メーカーも同じで、が体が肥大化したことにより小回りが利かなくなり、施主の方を向かず、会社の上ばかりを見て仕事を進めているようなところも多かれ少なかれ淘汰されるだろう。
設立後、何十年と経過した会社はかなりの数の住宅を建てている。
アフター含めて守りに入るのはある意味しょうがないことなのかも知れない。
しかし攻めの姿勢は失くしてはならないと思う。
とは言え、それが見せかけだけでは・・・・やはりいけない。
たかが住宅、されど住宅である。


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