現在、進行中の現場「米ヶ袋の家」で屋根に雄勝の天然スレート(玄昌石)葺きを採用しているのだが、この施工を担当しているのが、石巻の(有)四倉製瓦工業です。 クライアントの熱烈な希望で実現を見るにいたったが、実は住宅の屋根としては稀な例!! 四倉製瓦さんのところでは、新築の住宅としては宮城県内では3棟目になるらしい(内1棟は江陽グランドホテルのオーナーだった後藤江陽邸とのこと)。 私は石巻生まれと言う事もあって、小さい頃はいたるところにスレート葺きの倉庫とか、崩れかけた廃屋を見かけたせいで、この屋根材に関しては余り良い印象がないのだが、まあ考えてみれば現在屋根材の主流となっている彩色石綿板(いわゆるカラーベスト)はこの天然スレートの紛い物(まがいもの)でしかないのだから、その存在価値は大きいと言わざるを得ない。 雄勝は全国で唯一優良な玄昌石を産出しているところで、硯(すずり)ではトップシェアーを誇っている。 現在の天然スレートは主に伝統文化財の復元に使われていて、前述の四倉製瓦さんはそれこそ全国を駆け回っているらしい。北上にある「かや葺き屋根」で有名な熊谷さんと並んで、宮城を代表する保存技術の伝承者である。 この施工の中心者(職長)は工事部長の佐々木信平さんである。 ▲左が、四倉社長、右が佐々木さん
佐々木さんは全国でも唯一の選定保存技術保持者認定を受けている方で、今回、たかだか100u程度の屋根の施工に10日以上かけて下さっている(まあ、屋根がそこそこ複雑なせいもあるのですが)。 ▲施工中の様子、今回はこけら葺きにしています。
2006年1月4日(土)に文化財保存技術2006・「伝統も名匠」日本の文化財を守る・伝統の技を知る と言うイベントが仙台メディアテークで開かれる予定で、事例インタビューのゲストとして石盤葺・佐々木信平さんが紹介されるとのこと。 ひょっとすると、この中に今回の現場が実例(施工している模様)として紹介されるかもしれません。 イベント(フォーラム)に関して詳しくは下記の資料を参照して下さい。 また(有)四倉製瓦工業のHPは http://www3.ic-net.or.jp/~kurasan/ です。 石巻では先代(まだご存命です)の時から瓦屋として有名でした。 なお、登米(とよま)に東北天然スレート鰍ニいう同じく天然スレート葺きをしている会社がありますが、登米は現在玄昌石を産出していないため、スペイン産が主原料とのこと、施工だけなら雄勝産も行なっているそうです(私は個人的にはスペイン産も悪くはないと思っています)。 いずれにしても、今回貴重な経験をさせていただいたクライアントには感謝!! 又、このような伝統的な工法が日の目を見る機会がたくさん現れる事を望んでやみません。 施工に関してですが、、現在はスレートを三重敷きとしたり、下地の防水紙をゴムアス系のものとしたり、軒先や谷をカラーステンレスや銅版を使用するなどして現代のニーズにも十分耐えるよう配慮されています。 ただ、価格は普通の瓦葺きの2.5倍から3倍程度かかります。 ただ、これからの住宅は30年〜50年と耐久年数もあがってきています。そう考えれば、一生物として使える天然スレートは決して高い買い物ではないと思います。、前述のかや葺き(ヨーロッパでは高級建売に使用されるなど人気高騰中)と同じように住宅の屋根材として復権を願ってやみません。
『文化財保存技術 2006』の開催について 〜伝統的な文化財を支える「伝統の名匠」〜平成8年9月9日文化庁 このたび、文化庁では、文化財の保存のために欠くことのできない伝統的な技術又は技能である「文化財保存技術」を広く一般にご紹介するため「文化財保存技術2006」を開催いたしますので、お知らせします。 1.背景: 例えば、社寺の檜皮葺の屋根を修理する技術や、漆芸作品の製作に使用される漆を採取する技術など、文化財の保存のために欠くことのできない技術(文化財保存技術)があります。これらの文化財保存技術は、後継者の減少や原材料の入手難など多くの問題を抱えているため、文化庁では、選定保存技術として選定し、その保護に努めています。 今回は、選定保存技術に選定された文化財保存技術を中心に、保存団体によるパネル展示・技術実演や、保存に係わる技術者のインタビュー・座談会などを通して、文化財保存技術の大切さを多くの方々にご紹介するために本事業を開催いたします。 2.日時: | 平成18年11月4日(土)、5日(日) |
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3.場所: | せんだいメディアテーク(宮城県仙台市青葉区春日町2−1) |
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4.構成: | 1) 選定保存技術フォーラム(スタジオシアター/7階) - オープニングイベント
文化財を守る伝統の技の紹介や、子どもたちによる芸能実演 - 選定保存技術フォーラム
東北地域の文化財や文化財保存技術の名匠の技についての講演、インタビュー、座談会 - おやこ寄席「話芸で学ぶ〜文化財を守る技〜」
講談や落語を通して、子どもたちに文化財を守る名匠の技の紹介
2) 選定保存技術展(オープンスクエアー/1階) 選定保存技術の保存団体による活動紹介・パネル展示・実演、ガイドツアー、子どもワークショップ等 |
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5.参加者: | 入場無料(選定保存技術フォーラムとおやこ寄席は事前申込みが必要です。) |
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※各催物の内容、申込方法等についての詳細は、チラシをご覧下さい(下記縮小画像をクリックすると、チラシのPDFデータが開きます)。 ■お問い合わせ 文化庁文化財部伝統文化課 課長 小松 弥生 文化財管理指導官 堀内 敦 電話03-6734-3104(直通) 03-5253-4111(内線3021)
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