2011年10月22日(土)秋保の櫻田邸(通称、サクラダファミリア)でマイスタープロジェクト恒例の芋煮会が開かれました。 今回の目玉はなんと言っても櫻田氏自作のタイムドメイン(時間領域)理論に基づく、波動型スピーカーの試聴です(実は私だけがそう思っていたようですが)。 件(くだん)のスピーカーとはタイムドメイン社のYoshii9を真似て作成した円筒型スピーカーのことです。 このYoshii9ですが、あのビル・ゲイツが自宅に50万ドル(当時6,.000万円)かけたオーディオシステムより音が良いと感嘆したことで有名になった(元オンキョーの研究者だった由井啓之氏によって提唱、開発された)いわゆる音場型スピーカーの一種です タイムドメインの製品並びにタイムドメイン理論・技術については下記のHPを参照してください。 http://www.timedomain.co.jp/ | タイムドメイン理論スピーカーの当初のセッティング | | | 片チャンネル詳細 | | | スピーカーの配置を移動 | |
写真を見ても分かるとおり、円筒型をした塩ビ管スピーカーの仲間に近いですが、さすがに、櫻田氏(痩せても枯れても、いや肥えてもたるんでもと言うべきか・失礼!)デザイナーの片鱗、すこし高価ですが、透明なアクリルの筒で自作しています。上に向けてつけた8センチ口径のスピーカーはタイムドメイン社から購入(と言っても¥3,000です、中身はFOSTEXのFE83Eらしい)しています。 スピーカーケーブルはありえないぐらいの細い線!これはライカル線といって配線用の線だそうですが、タイムドメイン社推奨とのこと。なお由井社長は揖保の糸=お素麺と表現されているそうです。 さて芋煮の準備は他の人に任せて早速試聴開始。 CDを探したら、チェリビダッケものがぞろぞろ、さすが音楽一家いいものを聴き分けるセンスあるなあ・・・などと感心しながら「くるみ割り人形 組曲」を・・・・音が出たとたん、音場がぱっと広がりまるで演奏会にきているみたいな空気感!! ううーん、これぞ時間領域理論か?空間一体が音楽で満たされた感じとはまさにこういうこと。 ちなみに低音は(やっぱり不足なのか)オンキョーのスーパーウーハーを改良して採用。 驚きの入力は(CD以外は)ソニーのプレイステーションを介して、リッピングされた地下に有るパソコンから供給!リモコンがゲーム機のままと言うのは少し衝撃的! ただ、よく聴き込むと、定位は良いが、明瞭感が不足、セパレーションもあまり感じられないことが分かり、セッティングを少し変更(スピーカーを壁から遠ざけ、少し間隔を近づけた)したら、アーラ不思議、楽器の音が手に取るように聴き取れるまで改善。 (後で、タイムドメインを使用している人たちのHPを見たら結構左右近接で置いているケースが多かった) 芋煮会は無事終了、お腹一杯になった後は、背面の白い壁をスクリーンとし150インチのプロジェクターで、サラ・ブライトマン(昔BSハイビジョンでやったやつ)を拝聴(拝見)。 夕方になり部屋が暗くなるにつれて、画面がはっきりしてきて、やわらかく部屋一杯に広がる音とともに、コンサート会場にいる雰囲気で、これぞ感動もの!でした。 | サラ・ブライトマンのDVD | | | 150インチ目一杯広がり臨場感抜群! | | | やがて回りは漆黒の闇に! | |
これでスピーカー制作費が1本¥30.000もかかっていないとはまったく思えないほど・・・ ところでYoshii9もそうだが、アンプや入力系の違いでどれほどの差が出るのだろうか? いつか試してみたいところです。 その後、ネットで自作スピーカーのHPを検索すると、多くの人がこの円筒型スピーカーに挑戦しているのが分かる。 まあ、個人的には肝心のYoshii9を聴いていないので、なんとも言えないが、(・・・・オリジナルはやっぱり凄いらしい)。 とは言ってもYoshii9の価格は自作の5倍〜10倍! 結論、自分でスピーカーを作るのなら、いままでのような箱ものではなく、このエンクロージャーみたいなのがいいと思うようにはなりました。 ちなみに、タイムドメイン理論に基づくミニスピーカーは結構安価で多機種あるようです。 スピーカーを意識させないのは良いことなので、パソコン用にとかでも置けばいいかなと思ってはいるけど、でも金額を考えると、実はたいしたことはないのかなあ・・・・とも思ってしまいます。 オーディオ雑誌の権威ステレオサウンドでもあまり取り上げられていないし(いつものことですが)。いわゆる本格的オーディオの部類には入らないのかも・・・・なんて言い過ぎかな・・・ いずれにしても櫻田さんのシステムもまだ発展途上、今後がますます楽しみです。 この住宅の空間で有ればこそのシステム!それはタイムドメインと言っても過言ではないようです。 以下 タイムドメイン(時間領域)の理論です。 従来のオーディオ理論は主に周波数領域に着目していますが、タイムドメイン理論は文字通り時間領域に着目したオーディオ理論です。 時間領域と周波数領域の関係を示します【図1】。元々の音の波形は図の左側の時間特性です。この時間特性を高速フーリエ変換することにより、音圧情報を含む振幅周波数特性(いわゆるF特)と時間情報を含む位相周波数特性が得られます。 【図1:時間領域と周波数領域の関係】 時間特性をフーリエ変換(FFT)すると、振幅と位相の2つの周波数特性が得られる。 |
この図からわかるとおり、一般的に着目されている振幅周波数特性(F特)は、音の一側面をあらわしたものであり、F特の向上だけをいくら追求しても、位相周波数特性が忠実でなければ、元の音質は再現できません。これが、F特が同じでも音質が違う理由のひとつです。 ここで、元の音質を正確に再現するためには、2つのアプローチが考えられます。1つは周波数領域に着目して、振幅周波数特性と位相周波数特性の両方を向上させていく方法、そしてもう1つは時間領域(タイムドメイン)に着目してオリジナルの波形そのものを再現しようとする考え方です。 これまでのスピーカーでは振幅周波数特性の向上が重視され、位相周波数特性の向上についてはそれほど目覚しい成果は得られていませんでした。 それに対してタイムドメイン理論では、振幅・位相周波数特性が含まれた元の波形をそのままの形でスピーカーから再現することを目指していますから、正確な音再生に有利なアプローチであると言えます。 |
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