(有)吉田建築研究所 吉田裕一 2011年8月31日(水) 午前1:24 友人の建築家で同じJIA(日本建築家協会)会員でもある鎌田雅宏(かまだまさひろ)氏が逝去されました。 ……享年53歳でした(実年齢52歳と10ヶ月弱)。
昨年何気なく受けた検診でステージIVの肺癌が見つかり、その後治療中でした。 ……なお、最期は自宅での緩和療法を選んだとのこと。 ほんの2、3ヶ月前にはJIAの仲間と一緒に酒を飲んだのがうそのようです。 ただ、その時も2時間の予定を早々に切り上げて、最近は体力の衰えが目立つと言ってはいましたが……。 昨年9月の「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」は病気治療中にも関わらず、仲間たちと一緒に見事なサックスの演奏を披露してくれました。 今年もまもなく、その「JAZZフェス」が始まります。 来る9月10日に出演予定の仲間による演奏を観に来る(……車椅子?で)なんて話を聞いたばかりでした。また、私の仕事仲間の自作スピーカーの拝聴会に呼ぼうかなんて話を前日にしていたばかり……でもありました。 いわゆるバツイチである彼は、私生活(結婚生活の意味)においては上手くいかなかったのかもしれませんが、数年前、知り合いの女性(ピアノの先生)を紹介したことかありました(……いわゆる見合いです)。 これは(相手があることですから)残念ながら成就しませんでしたが、その時の彼には再婚願望はあったようでした。 人一倍建築を愛したことは言うまでも無く、白の革靴にイッセイミヤケでコーディネート、オールバックで髪を後ろに束ね、時には金髪で、JAZZを愛し、カラオケではジュリーを熱唱し、ビッグバンドではサックスを担当し……などなど。 かまちゃんの愛称でみんなに親しまれ、ダンディをひたすら追い求め、そして有る意味恋多き男は、短い人生を、颯爽と駆け抜けていきました。 2008年春 ASJの冊子「A-Style」で大人の遊び空間として紹介された当時49歳の鎌田さんです。
人生においては心残りや、やり残しはあったでしょうし、また建築家としては、これから大成に向かって行く年齢であったとは思われます。 生きていればもっともっとすばらしい建物が彼の手から生まれたかと思うと残念でなりません。 けれど病魔の苦痛から解き放たれた今は、大好きだった建築を天国の仲間と熱く語りあっているか、それとも得意のサックスを雲の上で悠々と吹いているかも知れません。 生まれ変わって、なりそこなった美容師の道を選ぶのも(ダンディな彼には)素敵な選択です。 心より御冥福をお祈りします。どうか安らかにお眠りください。 ―合掌―
|