デザイン設計実績 -HOUSING- Back

 旧馬坂の家

建設地: 石巻市
構造: 木造2階建(枠組壁構造)
延床面積: 112.19m2

123456|JIA用パネル|

「馬坂」は、石巻市の「伊原津2丁目」の旧町名である。
"旧・馬坂の家"は、父とともに電気工事店を営む二代目である施主が、妻と女の子のために建てた、倉庫も兼ねる事務所を併設した小さな住宅である。
事務所を除くと居住部分は30坪にも満たない。
したがって、狭い面積の中で変化を織り交ぜながら"いかに広く感じさせるか"が、この設計の最大のポイントとなった。
リビング階段、吹抜、勾配天井、穴き抜ける様な斜めの窓等、動線やプライバシーといった"住まいの基本"は守りながら、無理のない範囲で様々な"しかけ"を試してみた。
内部の"しかけ"はそのまま外部の形態にもなり、後面に背負った山に岐立する形のシルエットは、テクスチャーの違うシルバーとブルーのガルバリウム鋼板を使うことで、シャープでモダンな表情を表出している。
ムクの床材、調湿性塗料、和紙、自然塗料、そして屋根と外壁に充填したセルロース、1階天井裏に使った麻の断熱材といった見えない所も含めて、あくまでも自然素材にこだわったのは、マイスタープロジェクトの提唱する"呼吸する住宅"ポリフィルムで覆われた魔法瓶のよう(住宅に対抗する意味)を実現したかったからであり、それは、又、女の子のためのアレルギー対策に最も有効な方法でもあるからだ。
電気工事店である以上必然的にオール電化住宅になったが、都市ガスに比べてランニングコストが1/5というCO2冷媒の給湯器も思い切って採用してみた。
積極的に新しいモノを取り入れることは"実験的な意味"もあるが、住まい手であり、工事店でもある施主にとっては、蓄熱暖房器とともに月々の電気料金のデータを取ってみる、という課題を楽しみながら体感することが出来、自ら「モノ創り」の具現者として、さらにもう一歩踏み出すというおまけまでついてしまったのは、このプロジェクトならではのことではないだろうか。

(有)吉田建築研究所 吉田 裕一
旧・馬坂の家 旧・馬坂の家

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